大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第二小法廷 昭和63(さ)1 判決

主 文

原略式命令を破棄する。

被告人を罰金三万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金二〇〇〇円を一日に換算し

た期間、被告人を労役場に留置する。

理 由

本件記録によると、高知簡易裁判所は、昭和六一年二月一三日被告人に対する道

路交通法違反被告事件について、「被告人は、酒気を帯び呼気一リツトルにつき〇・

二五ミリグラム以上のアルコールを身体に保有する状態で、昭和六一年一月一九日

午前零時二五分ころ、高知県香美郡a町bc番地付近道路において、普通乗用自動

車を運転したものである。」との事実を認定した上、昭和六一年法律第六三号によ

る改正前の道路交通法六五条一項、一一九条一項七号の二、同法施行令四四条の三、

刑法一八条、罰金等臨時措置法二条、刑訴法三四八条を適用して、「被告人を罰金

三五、〇〇〇円に処する。これを完納することができないときは金二、〇〇〇円を

一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。ただし、端数を生じたときはこれ

を一日とする。第一項の金額を仮に納付することを命ずる。」旨の略式命令を発付

し、同略式命令は、同年二月二八日確定したことが認められる。

しかしながら、右の道路交通法六五条一項、一一九条一項七号の二によれば、そ

の罰金の法定刑は三万円以下であり、加重事由のない本件において、これを超過し

て被告人を罰金三万五〇〇〇円に処した右略式命令は、法令に違反しており、かつ、

被告人のため不利益であるといわなければならない。

よつて、刑訴法四五八条一号但書により、原略式命令を破棄し、被告事件につい

て更に判決することとする。

原略式命令の確定した事実に法令を適用すると、被告人の所為は、昭和六一年法

- 1 -

律第六三号による改正前の道路交通法六五条一項、一一九条一項七号の二、同法施

行令四四条の三に該当するので、所定刑中罰金刑を選択し、その金額の範囲内で被

告人を罰金三万円に処し、右罰金を完納することができないときは、刑法一八条に

より金二〇〇〇円を一日に換算した期間、被告人を労役場に留置することとし、裁

判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

検察官西岡幸彦 公判出席

昭和六三年一〇月二八日

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 藤 島 昭

裁判官 牧 圭 次

裁判官 島 谷 六 郎

裁判官 香 川 保 一

裁判官 奥 野 久 之

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!